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カマン・カレホユック
大村 幸弘 アナトリア考古学研究所長
第32次カマン・カレホユック発掘調査(2017年)開始
クリーニング作業
第32次カマン・カレホユック発掘調査は、7月24日(月)に開始しました。23日に査察官としてアンカラの保存修復センターの学芸員、イルカイ・イヴギンさんが研究所に到着、翌日から北区、南区のクリーニングを開始しました。発掘区は保護屋根が掛けられていたこともあり、北区の建築遺構の保存状態は良好であったことは何よりでした。
北区発掘作業
今シーズンは、北区では「文化編年の構築」を継続して行いましたが、XIXからXX区では中期鉄器時代、前8世紀頃の建築遺構とその直下の前期鉄器時代の層序、さらに北区の最深部であるV区で前期青銅器時代の火災層、南区ではLVII、XXXIV区で後期青銅器時代、つまりヒッタイト帝国時代の建築遺構の発掘を中心に進めることを調査目的としました。
北区発掘作業
北区発掘作業
これまでの発掘調査で、北区のXIX〜XX区では、中期鉄器時代に前の時代の建築遺構が取り壊されており、そのほぼ中央部に新たに建物を構築したことが明らかになりました。この中期鉄器時代の調査では、様式化された鹿文様が施された土器片が幾つか出土しています。北区の最深部の火災層の発掘調査では、各建築層で彩文土器が出土してきております。この時期は、今から4200年〜4300年のところですが、今後カマン・カレホユックの層序に合わせて彩文土器の整理を行うことが可能になるかと思います。
南区発掘作業
南区発掘作業
南区の後期青銅器時代の発掘では、ヒッタイト帝国時代の建築遺構を盛んに発掘中です。南区では数多くのピットが検出されたこともあり、それらを一つ一つ丁寧に掘り下げているところですが、次々とピットが見つかりなかなかその層序から抜けることができていません。そのピット内から、青銅製の剣、印章、封泥が出土しており、何れも前2千年紀後半に年代付けられるものです。(2017年8月30日)(大村幸弘)