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勉強会
■アナトリア学勉強会のご案内■
11月30日(土)午後3時より、アナトリア学勉強会を行います。松村公仁(ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)、大村幸弘(カマン・カレホユック遺跡発掘隊長)、大村正子(ヤッスホユック遺跡発掘隊長)の3名が、今年の発掘調査を総括し、語り合います。
■第289回■
- 日時:2024年11月30日(土) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 参加方法:Zoom
- ※今回は「Zoom配信」のみの開催となります。
- 題目:「アナトリア考古学研究所、今シーズンの発掘調査を語るービュクリュカレ、カマン・カレホユック、ヤッスホユックー」
- 「アナトリア考古学研究所が発掘調査するビュクリュカレ(5〜7月初)、カマン・カレホユック(7〜9月初)、ヤッスホユック(9〜11月初)の3遺跡の隊長が、それぞれの遺跡の最新情報を含めた今シーズンを総括し、語り合います。」
- 発表者:大村幸弘(アナトリア考古学研究所 所長・カマン・カレホユック発掘隊長)
- 発表者:大村正子(アナトリア考古学研究所研究員・ヤッスホユック発掘隊長)
- 発表者:松村公仁(アナトリア考古学研究所研究員・ビュクリュカレ発掘隊長)
- <申込要領>
- *今回は「Zoom配信」のみとなります。アナトリア考古学研究所 ( tokyo @ jiaa-kaman.org )へ電子メールにて、11月27日(水)までにお申し込みください。
- 申込メールは、件名を「第289回アナトリア学勉強会」とし、本文に ①氏名 ②所属(一般/学生,大学・所属団体等) ③E-MAIL ④電話番号 を入力下さい。
- *お申し込みを確認後、受付完了のメール(tokyo @ jiaa-kaman.org のアドレスより返信)をお送りします。ネット不具合等の場合もありますので、11月29日(金)の午前中までに当研究所よりメールが届かない場合は、再度メールにてお問い合わせください。
■アナトリア学勉強会アーカイブ■
2021年7月から行なっているZoomライブ配信によるアナトリア学勉強会の動画の公開が始まりました。(2022年6月10日)
▼アナトリア学勉強会アーカイブ
http://www.jiaa-kaman.org/jp/seminar-m.html
■過去終了分■
■第177回■
- 日時:2008年11月23日(日) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「第23次カマン・カレホユック発掘調査 (2008年)」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第178回■
- 日時:2008年12月21日(日) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「ビュキュルカレ遺跡における予備調査 (2008年)」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第179回■
- 日時:2009年1月10日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「ウラルトゥの長剣について」
- 発表者:津本 英利(マールブルク大学)
■第180回■
- 日時:2009年2月14日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「ヘレニズム時代の中央アナトリアにおける文化変容について —カマン・カレホユック出土の土器に関する一考察—」
- 発表者:鈴木 慎也(千葉大学大学院)
■第181回■
- 日時:2009年2月28日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「中央アナトリアにおけるアッシリア商人居留地時代の青銅製品について —カマン・カレホユック第IIIc層焼土層出土の鎌・短剣・槍先を中心として—」
- 発表者:常木 麻衣(国士舘大学)
■第182回■
- 日時:2009年3月7日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「中央アナトリアにおける銅石器時代 —カマン・カレホユック出土の刻文土器—」
- 発表者:新沼 史恵(東海大学)
■第183回■
- 日時:2009年4月26日(日) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「14C年代の使い方」「前期鉄器時代の14C変動について」
- 発表者:大森 貴之(名古屋大学大学院)
■第184回■
- 日時:2009年5月10日(日) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「サラット・ジャーミー・ヤヌ遺跡発掘調査の成果とその意義−南東アナトリア新石器時代に対する新たな見方−」
- 発表者:三宅 裕(筑波大学)
■第185回■
- 日時:2009年11月22日(日) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「第24次カマン・カレホユック発掘調査 (2009年)」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第186回■
- 日時:2009年12月19日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「第1次ヤッスホユック発掘調査 (2009年)」
- 「第1次ビュクリュカレ発掘調査 (2009年)」
- 発表者:大村 正子,松村 公仁,◎大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
◎発表者
■第187回■
- 日時:2010年1月9日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「ゴルディオンの『Destruction Level(崩壊層)』の編年について」
- 発表者:山下 守(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第188回■
- 日時:2010年2月6日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「西アジアの石器研究と旧石器捏造事件」
- 発表者:有村 誠(東京文化財研究所 文化遺産国際協力センター(特別研究員))
- 発表内容:「2000年11月5日の朝刊のスクープで発覚した旧石器捏造は、旧石器考古学だけではなく、日本の考古学の信頼を根底から揺るがした事件であった。そして、西アジアの考古学研究を行う私たちにとっても、他人事ではなかった。この事件の性質や事件から得られた教訓について、西アジア石器研究者の視点から話す。」
■第189回■
- 日時:2010年3月21日(日) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「ヘレニズム時代のウンゲンタリウムについて」
- 発表者:鈴木 慎也(千葉大学大学院)
- 発表内容:「ウンゲンタリウムはレキュトス、アラバストロン、アンフォリスコスなどと同様に、主に香油壺として使用されていた小型容器である。本報告では、ヘレニズム時代からローマ時代にかけて出現する、このウンゲンタリウムの内容量等に着目し、当時の香油の流通形態について考察を行う。」
■第190回■
- 日時:2010年4月24日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「重鉱物分析と古代土器の産地推定」
- 発表者:黄 嵩凱(東京理科大学)
- 発表内容:「土器の原材料である粘土には様々な鉱物が含まれている。これらの鉱物は粘土の産地に関する情報を含んでいるので、鉱物種、特に地球化学的挙動が特徴的な重元素を多く含む重鉱物を同定することによって土器の産地推定の手がかりが得られる。重鉱物は河砂の産地を推定するために極めて重要な指標として古くから用いられている。本研究では、土器の産地を知るため、遺跡近郊の河砂と土器の重鉱物構成を分析し、両者を比較することによって土器の原材料である粘土の採集地を推定した。」
- 題目:「古代中近東地域におけるコバルト着色剤の変遷」
- 発表者:阿部 善也(東京理科大学)
- 発表内容:「古代ガラスに使われたコバルト着色剤に関する研究は,コバルトの利用が開始されたとされる新王国時代エジプトのものが中心で,その他の中近東地域,特にアナトリア地域のコバルト着色剤に関してはほどんど研究がなされていない。本研究ではカマン・カレホユック鉄器時代出土の青色ガラスの組成分析結果を軸に,他の様々な地域で出土したコバルト着色遺物の分析結果を織り交ぜながら,古代中近東地域におけるコバルトの変遷を考察した。」
■第191回■
- 日時:2010年5月22日(土) 午後 3時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「前期鉄器時代を中心としたカマン14C編年」
- 発表者:大森 貴之(名古屋大学)
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- 【お知らせ】
- 当日午後2時より、アナトリア学勉強会や発掘調査に新規に参加する方、考古学フィールドコース参加者を対象とした14C年代測定法の概論を行います。
- 午後2時より 14C年代測定概論「14C年代の使い方」大森 貴之(名古屋大学)
■第192回■
- 日時:2010年11月28日(日) 午後 2時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「第25次カマン・カレホユック発掘調査 (2010年)」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第193回■
- 日時:2010年12月11日(土) 午後 2時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「第2次ヤッスホユック発掘調査 (2010年)」
- 「第2次ビュクリュカレ発掘調査 (2010年)」
- 発表者:大村 正子,松村 公仁,◎大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
◎発表者
■第194回■
- 日時:2011年1月15日(土) 午後 2時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「鉄器時代アナトリアのダブル・ピンについて」
- 発表者:山下 守(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第195回■
- 日時:2011年2月26日(土) 午後 2時より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「カマン・カレホユックから出土したIId層の土器の産地推定:カマン・カレホユックは土器の製作中心か否か」
- 発表者:鈴木 裕子(東京理科大学)
- 題目:「チャナッカレ地方のウンゲンタリウムに関する一考察―ダルダノス墳墓出土資料を中心に―」
- 発表者:鈴木 慎也(千葉大学)
■第196回■
- 日時:
2011年3月19日(土) 午後 2時30分より中止 - 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「アナトリア鉄器時代における彩文土器の顔料の解明」
- 発表者:五月女 祐亮(東京理科大学)
- 題目:「カマン・カレホユックおよびアリッシャルホユックから出土した鉄器時代の彩文土器の産地推定:交易関係の解明」
- 発表者:黄 嵩凱(東京理科大学)
■第196回■
- 日時:2011年5月14日(土) 午後 2時30分より
- 場所:(財)中近東文化センター 小講堂
- 題目:「2010年度採集試料の14C年代測定」
- 発表者:大森 貴之(東京大学)
- 発表内容:2010年度において試料採集を行った,カマン・カレホユック,ヤッスホユック,ビュクリュカレ,ベイジェスルタンの14C年代測定結果をそれぞれ報告する予定です。
■第197回■
- 日時:2011年12月11日(日) 午後 3時00分より
- 場所:西社会教育会館 (三鷹市深大寺2-3-5)
- 題目:「クルシェヒル県における考古学的一般調査(2011年)」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
- 発表内容:1986年以来継続して行っているカマン・カレホユック発掘調査では、現在までに4文化層が確認されています。第III層は中期・後期青銅器時代、第IV層は前期青銅器時代です。ここ数年、これらの両文化層から銅石器時代、新石器時代のものと思われる遺物が出土しており、カマン・カレホユック遺跡にも前期青銅器時代以前の文化層が包含されている可能性が出て来ております。今回の一般調査では、これまで確認した遺跡の中でも前期青銅器時代、銅石器時代の文化の強いホユックを踏査してみました。今回の勉強会では幾つかの遺跡を紹介するとともにカマン・カレホユック遺跡の先史時代に焦点を合わせて見たいと思います。
■第198回■
- 日時:2011年12月24日(土) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラムB (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「地中探査を用いたヤッスホユックの遺構分布調査」
- 発表者:福田 勝利(京都大学)
■第199回■
- 日時:2012年1月14日(土) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「カマン・カレホユック遺跡における考古学的調査に伴う地域還元」
- 発表者:杉本 翔(筑波大学)
■第200回■
- 日時:2012年2月11日(土) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ローマ帝政期の香油瓶−ジュリオポリス出土資料に関する一考察−」
- 発表者:鈴木 慎也(千葉大学)
■第201回■
- 日時:2012年3月24日(土) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「《アレクサンドロス石棺》研究―図像解釈の再検討―」
- 「《アレクサンドロス石棺》は、現在イスタンブール考古博物館に収蔵されている、アレクサンドロス大王に関連する作例を代表するモニュメントの一つである。しかし本作の研究は、関連する資料の乏しさ、また後継者戦争による複雑な歴史的背景などから、今日でもなお多くの問題が山積している。本発表は《アレクサンドロス石棺》の研究史を概観し、特に各浮彫の図像解釈に焦点を当てて再検討を試みるものである。」
- 発表者:中村 友代(筑波大学大学院)
■第202回■
- 日時:2012年4月7日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分A (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「カンボジアにおけるクメール遺跡の現状と日本国政府による保存修復活動について」
- 「カンボジア,アンコール遺跡群では,世界各国の団体による保存修復事業が展開され「世界遺産保全のためのオリンピック会場」といわれる程です。日本国政府もまた1994年より修復工事に参与し,中心的な役割を果たしています。多彩な研究分野の専門家が協力し,古代の石造建築の修復技術の開発に努め,それらの技術を現地の専門家に移転しようとする試みについて紹介します。」
- 発表者:下田 一太(日本国政府アンコール遺跡救済チーム 技術顧問、早稲田大学理工学総合研究所 講師)
■第203回■
- 日時:2012年4月21日(土) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分A (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「エン・ゲヴ遺跡(イスラエル)-パレスチナにおける鉄器時代都市の始まり」
- 「イスラエル北部のエン・ゲヴ遺跡では、前11世紀から8世紀にかけて3期に大別できる都市遺構が出土している。パレスチナでは前1200~1000年頃にかけてカナン都市が滅ぼされ、イスラエルを始めとする新しい国家群が形成されたが、その新しい都市文化はどのように形成されたのかを解明することが目下の目標である。」
- 発表者:杉本 智俊(慶應義塾大学)
■第204回■
- 日時:2012年5月12日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースE(定員20名) (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「アナトリア青銅器時代の編年研究の現在 -2011年度採取試料の14C年代測定結果-」
- 「アナトリア地域の青銅器時代は,豊富な鉱物資源をもとにした金属利用が本格化し,既成の生業戦略とそれに伴う社会構造に大きな変革が訪れた時代と位置づけられます。本勉強会では,前期青銅器時代から後期青銅器時代まで,時系列に史学・考古学的トピックを概観し,その編年がどのように組み立てられたかについて紹介したいと思います。 また,近年、史学・考古学的アプローチによって構築された編年と14C研究による編年との大きな隔たりが指摘されています。この編年問題はアナトリアだけでなくオリエント史全体の共通課題となっており,その現状について議論したいと思います。加えて,2011年度のトルコ調査にて採取した14C年代試料の最新結果も紹介する予定です。」
- 発表者:大森 貴之(東京大学 総合研究博物館)
■第205回■
- 日時:2012年6月2日(土) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「北ユーラシア草原の道を歩く~モノクローム写真の世界~」
- 「私がトルコ共和国、カマン・カレホユック遺跡の撮影を担当したのは1994年からでした。当時、国内においては在日コリアンと日本人の結婚家庭をテーマに取材を行っていました。そんな中、ユーラシアの草原の道(シルクロードのステップルート)を通してトルコ人と日本人あるいは韓国・朝鮮人が無関係ではないことをカマンにいらした大野先生からお聞きしました。 それまで日本とトルコの関係など思いもよらなかった私は、自分がかかわっている国々だけにとても大きな興味を抱きました。日本、韓国・朝鮮が草原の道でトルコに通じているとはいったいどういうことなのでしょうか。 私はこの疑問をこの目でたしかめるべく1999年3月から幾度かに分けてその広い地域を旅することにしました。最終的には2005年4月のノルウェーまで11回に及びました。 はたしてその結果は、一介の写真家のモノクローム写真でお見せしようと思います。客観的な研究結果とはまた違った観点からの思いをくみ取っていただければと思っております。
- <旅した国と地域> 日本、韓国、(韓国と中国から垣間見た北朝鮮)、中国(旧満州)、モンゴル、中国(新疆ウイグル自治区)、キルギス、ウズベキスタン、カザフスタン、アゼルバイジャン、トルコ、ルーマニア、ハンガリー、エストニア、フィンランド、ノルウェー」
- 発表者:大島 隆行(プロカメラマン)
■第206回■
- 日時:2012年7月7日(土) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「カマン・カレホユック出土のクレイパイプから見た世界の一体化について」
- 「オスマントルコ時代に出現したクレイパイプから世界史の大きな流れの中でカマン・カレホユック遺跡をどのように位置付けることが出来るのかという試案について報告いたします」
- 発表者:鈴木 慎也(千葉大学)
■第207回■
- 日時:2012年8月26日(日) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースD (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「カマン・カレホユック遺跡Ⅱa層出土の羊の踝骨に関する一考察」
- 「Ⅱa層において複数個まとまって出土している羊の踝(くるぶし)の骨の遊具としての可能性について考察します。」
- 発表者:鈴木 慎也(二松学舎大学附属中学校・高等学校教諭)
■第208回■
- 日時:2012年10月27日(土) 午後 2時00分より
- 場所:三鷹市社会教育会館 集会室1 (三鷹市下連雀6-13-13)
- 題目:「− 博物館展示は映画やドラマと同じ −」
- 「文化施設のひとつ、博物館に於ける展示について設計者の立場で計画から設計・施工(製作)までを、展示シナリオやアイディアスケッチ・設計図を呈示しながら解説し、その中で博物館展示の近年の経緯や、IT化・効率化の進む展示器材の変遷なども紹介する。博物館展示設計は多くの専門家が関わり、展示シナリオに基づき作り上げられるドラマである。近年文化施設展示の設計は展示手法・技術の細分化が進み、ますます多様と複雑化しておりこれらの点を踏まえ考査してみたいと思います。」
- 発表者:永金 宏文((株)ディグ/カマン・カレホユック考古学博物館展示ディレクター)
■第209回■
- 日時:2012年12月15日(土) 午後 3時00分より
- 場所:西社会教育会館 (三鷹市深大寺2-3-5)
- 題目:「中央アナトリアの前期青銅器時代−カマン・カレホユック第Ⅳa層−第Ⅳb層-」
- 「カマン・カレホユックの発掘調査は、アナトリアの古代史研究の中で『暗黒時代』と呼ばれる歴史的文化的に不明とされる時代の解明に寄与してきた。その第一がヒッタイト帝国崩壊後の数世紀の文化を明確にしたことであるが、今一つは、中央アナトリアにおける前期青銅器時代の解明である。特に、前3千年紀末には多くの問題が山積していた。今回の勉強会では、カマン・カレホユック発掘調査の第Ⅳa層と第Ⅳb層の調査を通して、中央アナトリアの前期青銅器時代の問題点を取り上げて見たい。」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第210回■
- 日時:2013年1月20日(日) 午後 2時00分より
- 場所:西社会教育会館 (三鷹市深大寺2-3-5)
- 題目:「西 ― 東アジア間陶磁貿易と在地陶器生産:東南アジアの視点から」
- 「東南アジアは、ユーラシア大文明圏の「辺境」、あるいはそれらをまたぐ東西交易の「中継点」として捉えられることが多く、その物質文化については充分に調査されているとは言い難い。しかし近年の調査から、ビルマ産の青磁、白釉陶器が西アジアに輸出されている事実が判明するなど、東西交易の単なる通過点ではなかったことが明らかになりつつある。今回の発表では、西アジアから東アジアにいたる陶磁貿易が、東南アジア各地域の窯業成立にいかなる刺激を与え、また発達した東南アジア在地窯業が陶磁交易網のなかにどの様に組み込まれていったのかについて、近年の調査をもとに紹介したい。」
- 発表者:田畑 幸嗣(上智大学非常勤講師、国際基督教大学アジア文化研究所研究員)
■第211回■
- 日時:2013年2月24日(日) 午後 2時00分より
- 場所:三鷹市社会教育会館 集会室1 (三鷹市下連雀6-13-13)
- 題目:「グレコ・ローマンの都市,ヨルダン,ウム・カイス遺跡の発掘調査」
- 発表者:松本 健(国士舘大学)
■第212回■
- 日時:2013年3月17日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースD (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「西方フェニキア都市にみる「ローマ化」の実態—レプキス・マグナを中心に—」
- 「従来、ローマ帝国の支配下で古代地中海世界に起こった文化変容はローマ化と呼ばれたが、ポスト植民地主義的批判を経た現在、その現象は単に文化変容もしくは都市発展と呼称され、あたかも現地社会が単独で変容したかのように語られている。しかしこの現象はローマの影響を抜きには語れないため、本発表では括弧を付けて「ローマ化」と称する。本発表では、ローマが西地中海を征服する以前から存在する西方フェニキア都市に注目し、西地中海の「ローマ化」の実態を考察する。」
- 発表者:青木 真兵(神戸山手大学非常勤講師)
■第213回■
- 日時:2013年4月13日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「南レヴァント鉄器時代における土器作りとHolemouth Jarの地域性」
- 「南レヴァント地域は、現在のシリアからシナイ半島を含む一帯の総称です。鉄器時代にはメソポタミアとアナトリア、エジプトを結ぶ文明のせめぎ合いの場として多様な物質文化や価値観、生活様式の入り混じる地域でした。この地域でどのような土器作りが行われてきたのか、そしてどのような地域性がみられるか、南レヴァント考古学の研究成果を元にお話していきます。」
- 発表者:三戸 芽(小田原市教育委員会/2013年3月慶應義塾大学文学研究科修士課程修了)
■第214回■
- 日時:2013年5月18日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「後期青銅器時代南レヴァントにおける諸都市の様相―出土遺構を通して―」
- 「後期青銅器時代(紀元前1550~前1200年頃)の南レヴァントとそれを取り巻く環境は、新王国時代エジプトの勢力拡大などによって、大きく変化したと考えられています。そういった中で、先行する中期青銅器時代と比較して諸都市にはどのような差が見られるのか、主に出土した遺構を基に、これまでの研究史の再検討を行います。」
- 発表者:間舎 裕生(慶應義塾大学文学研究科後期博士課程)
■第215回■
- 日時:2013年12月28日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ビュクリュカレ遺跡発掘調査:解明が期待されるアナトリア考古学上の諸問題」
- 「今年で5年目となったビュクリュカレ遺跡の発掘調査ですが、これまでに多くの興味深い問題点が浮かび上がってきています。今回の勉強会ではアナトリアの歴史においていったいどのような問題がビュクリュカレ遺跡の調査研究を通して解明されうるのかを紹介したいと思います。」
- 発表者:松村 公仁(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第216回■
- 日時:2014年1月19日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースD (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ヒッタイト帝国崩壊時から暗黒時代にかけての環境変化を考える:安定同位体から復元する古環境」
- 発表者:大森 貴之(東京大学 総合研究博物館)
- 【お知らせ】
- 当日午後1時半より、考古学フィールドコース参加者を対象とした14C年代測定法の概論を行います。
■第217回■
- 日時:2014年2月8日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分A (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「クルシェヒル県に於ける考古学的遺跡踏査」
- 「クルシェヒル県に於ける考古学的遺跡踏査は、1986〜1988年、2001年、2011〜2012年にかけて行った。この調査の目的は、カマン・カレホユック遺跡で確認した文化編年との比較考察である。特に、2013年の調査では、カマン・カレホユック遺跡で確認されている初期鉄器時代、第IId層、その直上の第IIc層出土土器との比較に重点を置いた。今回の勉強会では、踏査をした遺跡、採集遺物を紹介するとともにカマン・カレホユック遺跡の文化層との比較を試みたい。」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第218回■
- 日時:2014年3月8日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ユーラシア草原地帯における青銅器時代の一様相」
- 「前二千年紀初頭、ウラル山脈の南東部ではユーラシア草原地帯における青銅器時代の一般的な文化要素を持ちつつも、 “防御施設を有する集落”“複雑な葬制”“最古級のスポーク式二輪車輛”といった特異性を示す文化が現れます。シンタシュタ文化と呼ばれるこの文化は、草原地帯の先史時代における経済社会システムの実態に迫る手掛かりとして注目されてきました。本発表ではユーラシア草原地帯青銅器時代の一様相としてシンタシュタ文化の概要とその歴史的意義を提示しつつ、近年の研究動向についてお話したいと思います。」
- 発表者:荒 友里子(筑波大学大学院・日本学術振興会特別研究員(DC1))
■第219回■
- 日時:2014年4月5日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「アナトリアの鉄器製作技術の文化的意義とその背景―加速する製鉄技術史研究を理解するために―」
- 「近年、世界の鉄の歴史を塗り替えつつあるカマン・カレホユック出土遺物研究。
本発表では、その背景となる:
・製鉄~鉄器製作プロセスの概要
・なぜ日本人がトルコの鉄の研究をするのか?
・さまざまな研究アプローチと学者間の解釈の差異
などについて、発表者自身の研究成果を交えながらお話をしていきたいと思います。」 - 発表者:増渕 麻里耶(東京都市大学非常勤講師、東京理科大学大学院総合化学研究科客員研究員)
■第220回■
- 日時:2014年6月8日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分A (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ギリシアの初期鉄器時代に関する近年の研究動向」
- 「ミケーネ文化崩壊後、ギリシアでは青銅器時代が終焉を迎え、鉄器時代を迎える。古代ギリシア史において大規模な転換点となった初期鉄器時代に関して、資料の紹介および近年の動向について解説したい。とりわけ、土器の文様および近年注目を集めている金属製品の工房址に関して焦点を当てる。」
- 発表者:高橋 裕子(立教大学兼任講師)
■第221回■
- 日時:2014年12月14日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「第29次カマン・カレホユック発掘調査とクルシェヒル県遺跡踏査」
- 「6月下旬から9月初旬にかけて行った第29次カマン・カレホユック発掘調査と11月初旬から中旬にかけて行った遺跡踏査について報告を行いたいと思います。」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第222回■
- 日時:2015年1月25日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースE (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「アッシリア・コロニー時代の青銅製品の一考察ーカマン・カレホユック第IIIc層出土遺物を中心としてー」
- 「中央アナトリアの中期青銅器時代は、アッシリア・コロニー時代と呼ばれ、アッシュールのアッシリア商人との交易が盛んに行われた時代でした。カマン・カレホユック第IIIc層から出土した青銅製品はこの時期に該当します。カマン・カレホユックから出土した青銅製品の特徴や、他地域との比較をお話ししたいと思います。」
- 発表者:常木 麻衣(国士館大学大学院グローバルアジア研究科博士課程)
■第223回■
- 日時:2015年3月10日(火) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「メソポタミアの都市化をさぐる-サラット・テペの土器分析成果-」
- 「メソポタミアでは、都市化の進行する銅石器時代中~後期(前6~4千年紀)に、画一的な土器が生産されていました。今回は、2010年よりトルコ南東部、サラット・テペ遺跡で発掘してきた銅石器時代の遺構・遺物を紹介します。また、出土土器の理化学的分析により、焼成温度や彩文顔料成分などを推定しながら、メソポタミアの都市化について語ります。」
- 発表者:小泉 龍人(国士舘大学イラク古代文化研究所・共同研究員)
■第224回■
- 日時:2015年3月23日(月) 午後 1時30分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「「鹿文土器」(アリシャールIV式土器)の図像様式分析(2)ー(1)の補足と展開ー」
- 「中央アナトリア・クズルウルマック河流域で出土するいわゆる「鹿文土器」の図像様式の分析内容を、先日の調査研究会では割愛したスライドも用いて補足説明し、併せて「鹿文土器」の誕生と終焉に至る道筋を展望し、オズギュッチ先生の一文を頼りに、「鹿文」の持つ意味にも触れたい。」
- 発表者:水田 徹(東京学芸大学名誉教授)
■第225回■
- 日時:2015年4月12日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースE (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ヒッタイトの鳥占い」
- 「ヒッタイト人は神託を得るのに動物の内臓などいくつかの方法を使いました。そのうちのひとつに、鳥の観察があります。この発表では、ヒッタイト人が鳥の行動をどのように記録して解釈したかを、残された文書から探ってみたいと思います。」
- 発表者:佐久間 保彦(東京大学)
■第226回■
- 日時:2015年5月10日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ミダス・シティ出土金属器の調査」
- 「中央アナトリア西部、エスキシェヒール県にあるミダス・シティは鉄器時代フリュギア文化の遺跡である。かつて同遺跡から発掘され現在はエスキシェヒール博物館に収蔵されている、鏃を中心とする金属器(青銅器・鉄器)の調査結果から、同遺跡の年代付けなどを考察する。」
- 発表者:津本 英利(古代オリエント博物館研究員)
■第227回■
- 日時:2015年7月24日(金) 午後 2時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「造形様式論 ー 古代ギリシアの場合」
- 「『後期幾何学様式』(前750年頃~)から『アルカイック(前古典)様式』(前650年頃~)を経て『古典(クラシック)様式』(前480年頃~)への流れを外観します。」
- 発表者:水田 徹(東京学芸大学名誉教授)
■第228回■
- 日時:2015年12月6日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「クルシェヒル、ヨズガット県遺跡踏査」
- 「11月初旬から中旬にかけて行った遺跡踏査について報告を行います。特に、昨年度、今シーズンの調査で数多く採集した前期青銅器時代の彩文土器ーデリジェ土器についてその分布と年代付けについてお話しします」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第229回■
- 日時:2016年1月23日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ヒッタイト語文書にみる条約締結の意義―動詞išḫai-/išḫiya-と名詞išḫiul-の語用分析―」
- 「ヒッタイト語のišḫiul-という名詞は、ヒッタイト王が諸外国の支配者と締結した「条約」を意味します。本発表では、ヒッタイト語文書において名詞išḫiul-とその語源となる動詞がいかに使用されているかを分析することによって、ヒッタイトにとって他国と「条約」を締結するという行為にどのような意義があったのかについて考察します。」
- 発表者:山本 孟(京都大学文学部非常勤講師)
■第230回■
- 日時:2016年2月27日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「紀元前十三世紀後半以降のエーゲ海—絵付き土器の観察から」
- 「海棲生物文様で有名なエーゲ海文明ですが、時代を追って様々な姿を見せる土器に基づいて時期が細分されています。それらの年代幅も近年大変狭くなり、また新資料の増加から、個人差、地域差を考慮しながらより詳しく見て行けるようになっている絵付き土器(pictorial pottery)についてお話します。」
- 発表者:土居 通正
■第231回■
- 日時:2016年3月25日(金) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「紀元前13世紀から前12世紀初頭の絵付きミケーネ土器の観察から」
- 「ミケーネ文化の絵付き土器は、ギリシア本土からの搬入品としてキプロスとウガリトから多量に出土していますが、前十三世紀の例のほとんどはその前半のものとされています。前十三世紀の状況を描出するのに、こうした年代付けが大きく関与しますが、これについてミケーネその他の宮殿崩壊期の土器について見ながら検討します。」
- 発表者:土居 通正
■第232回■
- 日時:2016年4月9日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「南レヴァント前期青銅器時代の文化編年研究―過去・現在・未来―」
- 「南レヴァント前期青銅器時代(前3700~前2300年)の文化編年は、同時代の「都市」社会の成立と崩壊を理解する上で非常に重要です。本発表では、土器の型式学的研究や放射性炭素年代の諸研究等からその構築原理と変遷について解説し、同地域の歴史観に与えた影響について考察します。また、近年、この文化編年が経験している大幅な更新にも言及し、周辺地域を含めた文化史にどのような影響を与えうるのかについて考える予定です。」
- 発表者:山藤 正敏(奈良文化財研究所)
■第233回■
- 日時:2016年4月16日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「カマン・カレホユック出土資料の鉛同位体比」
- 「カマン・カレホユックで用いられた銅・鉛製品の産地を推定するために約600点の鉛同位体比を測定した。これらのデータを層序別に再検討したところⅢc層で特異な原料入手先がみられた。また、Ⅲ、Ⅳ層出土製品を中心に、原料鉱石をトルコ国内産と仮定して両者の対比を試みた。一方、この方法だけでは解決できない問題点も見えてきた。目で見てわかるような形での発表を心がけますので広い分野の方々のご意見を伺えれば幸いです」
- 発表者:榎本 淳子(元東京文化財研究所)
■第234回■
- 日時:2016年10月30日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ヒッタイトとギリシア – 紀元前二千年紀の西アナトリア –」
- 「スイスのヒッタイト学者E.フォラー(1894~1986)が1924年に発表した一本の論文に端を発したいわゆる『アヒヤワ問題』は、1920年代、30年代の草創期のヒッタイト学研究を揺るがす大論争に発展しました。ヒッタイト文書に古代ギリシアの人名や地名が登場するか否かをめぐるこの論争、ヒッタイト語が解読されて間もない当時はヒッタイトとホメロス以前の古代ギリシア世界の直接的な繋がりには懐疑的、否定的な見解が有力でしたが、論争から90年ほどを経た今日、それを疑うものはいません。ここでは、ヒッタイトとギリシアの接点となった前二千年紀の西アナトリアの情勢を、ヒッタイトの文書資料を中心に見ていきたいと思います。」
- 発表者:吉田 大輔(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第235回■
- 日時:2016年11月26日(土) 午後 3時00分より
- 場所:東京大学総合研究博物館 展示室(文京区本郷7-3-1)
- 題目:「カマン・カレホユックIV層出土炭化物の放射性炭素年代測定(2016年)」
- 「本勉強会では、2015年にIV層から出土した炭化物の放射性炭素年代測定を通し、アナトリアの前期青銅器編年を紹介するだけでなく、東大博物館に設置される加速器質量分析計を実際に見学しながら14C年代測定について解説する。」
- 発表者:大森 貴之(東京大学総合研究博物館)
■第236回■
- 日時:2016年12月16日(金) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「クズルウルマックに囲まれた地域における前期青銅器時代後半の彩文土器の様相—2014〜2016年のクルシェヒル県、ヨズガット県の遺跡踏査から—」
- 「2016年11月7日から16日まで、ヨズガット県で20遺跡の踏査を行った。今回は、これまでの踏査でデリジェ川流域に点在している遺丘から採集した彩文土器(デリジェ土器)が、これまでの調査地域の東側、つまりヨズガット県のメルケズ郡、シェファアトゥリ郡にも見られるか否かが一つのテーマであった。勿論、新石器時代、銅石器時代。アッシリア商業植民地時代、ヒッタイト古王国時代、帝国時代、更には鉄器時代の土器片の採集にも心掛けたが、 特に前期青銅器時代後半の彩文土器の分布に一つの手掛かりをつかむ事ができたことが、今回の調査の一つの収穫であった。この彩文土器の分布について、2014〜2016年の踏査結果を基に発表する。」
- 発表者:大村 幸弘(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第237回■
- 日時:2017年1月30日(月) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「カマン・カレホユック遺跡出土鉄器時代の彩文土器の化学的研究」
- 「カマン・カレホユック遺跡よりキプロスが起源とされている明るい赤色胎土につやのない黒色顔料が施された「Black on Red」と呼ばれる彩文土器が出土した。本研究では「Black on Red」と他の赤色胎土に黒/褐色顔料が施された彩文土器との比較を化学分析を用いて行い製作技術についての考察を行った。本発表では本研究に加え顔料の変遷なども発表する。」
- 発表者:大塚 晶絵(東京理科大学)
- 題目:「カマン・カレホユック前期青銅器時代出土のろくろ製土器の化学的研究」
- 「アナトリアにおけるろくろ製土器の伝搬に関してはまだ未解明なことが多い。本研究では化学的分析からカマン・カレホユック遺跡のろくろ製土器の産地を推定し、カマン・カレホユック遺跡におけるろくろ製土器の初現や発展について考察を行った。本発表ではろくろ製土器の産地推定についてを主に発表する。」
- 発表者:高橋 友里恵(東京理科大学)
■第238回■
- 日時:2017年3月7日(火) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「宗教的伝統の継承と変容―パレスチナ自治区ブルジュ・ベイティン遺跡を例として―」
- 「本講演では、ここ5年間ほど発掘調査が行われてきたパレスチナ自治区ブルジュ・ベイティン遺跡の成果を紹介いたします。この場所は、三大一神教すべてにおいて信仰の祖として崇敬されているアブラハムが祭壇を築き、その孫ヤコブや天の梯子の幻を見た場所とされています。発掘調査では、ビザンツ時代から大型の教会堂、十字軍時代からそれが改変された小型の教会と塔、農業施設、マムルーク朝時代には小教会堂が改変されたモスクと農業集落が確認されています。こうした遺構を通して、この地域における宗教的伝統と共同体がどのように形成され、継承されていったかを考えてみたいと思います。」
- 発表者:杉本 智俊(慶應義塾大学)
■第239回■
- 日時:2017年3月24日(金) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「中性子とX線を用いた鉄鋼文化財の非破壊分析手法の確立に向けて」
- 「鉄鋼文化財の材料や製造方法に関する詳細情報を得るためには従来は破壊分析による金属組織観察が必要でしたが、近年、中性子とX線を相補利用することで製造方法や材料特性に関する情報を非破壊でも得られることがわかってきました。本発表では、出土和釘や火縄銃を用いた最新の研究成果を報告いたします。」
- 発表者:田中 眞奈子(東京藝術大学社会連携センター)
■第240回■
- 日時:2017年4月30日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「葬制から見た古代ディルムンの系譜と階層化」
- 「ディルムンはメソポタミアの文献資料に登場する周辺国の1つである。この王国は、とくに前2千年紀前半に、メソポタミアやマガン、インダスを結ぶペルシア湾の海上交易を独占し繁栄したことが知られている。メソポタミアには、ディルムンを経由し、銅や錫、象牙、カーネリアン、真珠、木材など大量の物資が運び込まれていた。いわば、物流の面からメソポタミア文明を支えたのが、このディルムンであった。現在、ペルシア湾に浮かぶバハレーン島が、このディルムンに比定されている。
本発表では、日本隊が2015年から発掘調査をしているワーディー=アッ=サイル古墳群の成果に基づき、ディルムンの系譜と階層社会の発展に関して論じる。」 - 発表者:安倍 雅史(東京文化財研究所)
■第241回■
- 日時:2017年5月14日(日) 午後 3時00分より
- 場所:三鷹ネットワーク大学 教室A (三鷹市下連雀3−24−3 三鷹駅前協同ビル3階)
- 題目:「トルコ共和国カイセリ県の銅石器時代における考古学的位置付け」
- 「中期青銅器時代(紀元前2千年紀前半)に国際交易都市として栄えたキュルテペ遺跡(古代カネシュ)があるカイセリ県で、2008年から2013年にかけて遺跡踏査を行った(KAYAP: Kayseri Arkeolojik Yüzey Araştırması Projesi)。これはキュルテペ遺跡が発展した背景を、先史時代からの地域史として把握しようとするものである。124の遺跡・地点で採取した考古資料の中に、これまでこの地域では詳細が不明であった銅石器時代(紀元前4千年紀)のものと思われる資料を見出した。周辺地域での報告例を参照しながら、銅石器時代におけるカイセリ県の考古学的位置付けを提示する。」
- 発表者:須藤 寛史(岡山市立オリエント美術館)
■第242回■
- 日時:2017年6月24日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「先史時代バルカン半島の縄目文土器について」
- 「前4千年紀以降にバルカン半島で認められるようになる縄目文土器は、原印欧祖語を話す集団がヨーロッパへ移動したことを示す証拠の1つに挙げられています。この発表では、縄目文土器研究を始めるきっかけとなったデャドヴォ遺跡とそれ以降に実施した現地調査の成果を紹介しながら、バルカンの青銅器時代文化の成立過程について考えてみたいと思います。」
- 発表者:千本 真生(古代オリエント博物館/東海大学)
■第243回■
- 日時:2017年7月16日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「南コーカサスにおける古代集落の展開と変容 —アゼルバイジャン西部の踏査成果—」
- 「西アジアの古代文化にとって、豊富な金属資源に恵まれ独特の文化を発達させてきた南コーカサス地域が重要な役割をもっていたことが近年の発掘調査などから明らかになってきました。これまで知られることのなかった同地域の古代文化と遺跡分布、集落動態について、アゼルバイジャン西部で東京大学が実施してきた踏査の成果を基にし、アナトリア高原やイラン高原の考古学と比較しながらその一端を報告します。」
- 発表者:下釜 和也(古代オリエント博物館)
■第244回■
- 日時:2017年9月10日(日) 午後 3時00分より
- 場所:三鷹ネットワーク大学 教室A (三鷹市下連雀3−24−3 三鷹駅前協同ビル3階)
- 題目:「明治の建築家 伊東忠太 アナトリアをゆく」
- 「築地本願寺や平安神宮の建築家として知られ、明治時代に「建築」という言葉を日本人の言語生活に定着させた建築家・伊東忠太(1867-1954)。日本初の建築史家でもある忠太は、日本建築の源流がギリシャ起源との説を唱える。 理論証明のため出発した3年3ヶ月の世界一周旅行で、忠太は同時代のアナトリアの考古学発掘ラッシュを観察した。講演では、 オスマン帝国での見聞を重点的に、忠太の冒険と、「世界建築」への視座を探求する。」
- 発表者:ジラルデッリ青木美由紀(イスタンブル工科大学)
■第246回■
- 日時:2017年12月9日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「イスタンブルにおける緊急発掘調査—地下鉄工事、海底トンネル工事で検出されたビザンツ時代の港湾施設と木造船—」
- 「トルコにおける最初の緊急発掘調査は、1968年〜1975年まで東アナトリアで行われたケバンプロジェクトである。その後、トルコの経済が発展するにつれて緊急発掘調査数は増加するが、2004年、イスタンブルの地下鉄工事などに伴う調査は、国家事業の様相を呈する程の大掛かりなプロジェクトとなった。この緊急発掘調査は24時間体制で行われたが、注目すべき成果として新石器時代に年代付けられる建築遺構、土器などが数多くの遺物と出土したと同時に、ビザンツ時代の港湾施設と数多くの木造船が出土したことがあげられる。特に、木造船に関してはトルコの専門家によって最新の技術で保存修復されたことは注目に値する。」
- 発表者:İ.イルカイ(トルコ文化・観光省史蹟及び博物館総局アンカラ文化財保存修復センター)
■第247回■
- 日時:2017年12月23日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「カマン・カレホユック第III層出土の土器」
- 「土器はカマン・カレホユック文化編年構築において重要な役割を果たす。中・後期青銅器時代にあたる第III層からは、どのような土器が出土し、どのような変化が見られるのだろうか。考古学的手法を用いた分析を行った結果、第III層出土の土器は少なくとも2つの時期に分けられることがわかってきた。この2つの時期は、考古学的にこれまではっきりとした差がつかめていなかったアッシリア商業植民地時代とヒッタイト古王国時代にそれぞれ位置づけることが可能であった。カマン・カレホユック文化編年構築に寄与するとともに中央アナトリアでのヒッタイト王国成立時の文化変遷を解明していく上で、重要な新しい知見を得ることができたと考えている。なお本発表は現在執筆中の博士論文の紹介である。」
- 発表者:勝野 正(マールブルク大学)
■第245回■
- 日時:2018年1月27日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「ヤッスホユック発掘調査」
- 「2009年に開始したヤッスホユック発掘調査も、2018年には第10次調査という節目の年を迎えます。遺丘頂上部でおこなってきた調査では、鉄器時代、中期青銅器時代、前期青銅器時代の3文化層を確認しましたが、いずれも中央アナトリアの編年におけるターニングポイントともなる時期を解明し得ると期待されます。それぞれの文化層を代表する遺構を中心に、これまでの調査を総括します。」
- 発表者:大村 正子(中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所)
■第248回■
- 日時:2018年2月10日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「トルコ外交の基軸は変わったのか―2017年のトルコ外交の総括―」
- 「2017年はトルコの外交政策が非常に活発になった1年であった。本発表では、①トルコとアメリカの関係、②トルコとロシアの関係、③トルコと湾岸地域の関係、④トルコと北イラク地域政府(KRG)、⑤アメリカのエルサレム首都認定問題に対するトルコの反応、という5点に焦点を当て、トルコ外交における2017年の意義を検討する。」
- 発表者:今井 宏平(ジェトロ・アジア経済研究所)
■第249回■
- 日時:2018年2月18日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「トルコにおける書籍と紙作品の保存修復フィールドコースについての報告」
- 「書籍と紙作品の保存修復フィールドコースを2016年は2週間、2017年は3週間にわたって、アナトリア考古学研究所(トルコ)にてトルコ考古局所属の修復家を対象に、ガズィ大学にて保存修復学科在籍の4年生を対象に行った。本勉強会では、実際に教えたコースの内容や、参加者の反応、来年以降のコースについて参加者から出た要望や今後のプロジェクトの展望について報告する予定である。」
- 発表者:渡邉 万里子(Q Art Conservation(シンガポール))
■第250回■
- 日時:2018年4月7日(土) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「オスマン近現代史におけるケマル・アタチュルク」
- 「オスマン帝国末期からトルコ共和国成立期において、活動したムスタファ・ケマル(のちにケマル・アタチュルクと呼ばれる)について、オスマン史の中でどのように位置付けられるか検討したい。そして、彼の指導によりトルコ共和国が西欧的近代国家となるために、政教分離(ラーイッキリキ)を取り入れなければならなかったことについても考えたい。」
- 発表者:設樂國廣(立教大学(名誉教授))
■第251回■
- 日時:2018年12月24日(月) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「縄文文化の魅力 -表のおはなし、裏のおはなし-」
- 「いま、縄文が熱い!今夏に東京国立博物館で開催された「縄文 -1万年の美の鼓動」展は大盛況となり、その勢いはフランス・パリにて開催の「縄文 -日本における美の誕生」展に引き継がれた。ブームとも言える縄文について、その「表の魅力」を堪能しつつ、裏にある地道な研究の一端をご紹介しながら、縄文の魅力の真髄をご紹介する。」
- 発表者:建石 徹(奈良県庁)
■第252回■
- 日時:2019年1月19日(土) 午前 10時30分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「匈奴古墳出土刺繍毛織の図像研究」
- 「近年、ロシア・モンゴルの共同調査で匈奴の古墳から毛織が出土した。毛織には祭儀図や戦闘図などの刺繍が施され、ローマや中央アジアなど西方文化の影響を見ることができる。その制作地を巡っては異論があるが、刺繍に描かれた人物像とクシャン族の王侯像とを比較しながら、バクトリアのクシャン族との接点について検討を行う。」
- 発表者:川崎 建三(東洋哲学研究所)
■第253回■
- 日時:2019年2月2日(土) 午前 10時30分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「インカ研究の課題と問題点:考古学・歴史学・民族誌の間で」
- 「インカ国家は、およそ15世紀半ばからアンデス地域に拡大し、1533年まで存続した社会である。その研究では、考古学的データに加え、歴史文書、民族誌が用いられてきた。本発表では、それぞれの資料の特質と扱われ方を示し、インカ研究の課題と問題点を示してみたい。」
- 発表者:大平 秀一(東海大学)
■第254回■
- 日時:2019年3月3日(日) 午後 3時00分より
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「中央アナトリアの青銅器時代におけるヒッタイトの鉄生産にまつわる諸問題―その観念性と実在性を考える―」
- 「ヒッタイトは今から3700年ほど前アナトリア(現在のトルコ共和国)に興り、500年近く隆盛を誇った「世界で初めて鉄を利用した」として知られる文明である。本発表では、ヒッタイトの鉄に関する近年の研究成果をもとに、我々の持つ「鉄の利用」という概念について再考し、ヒッタイトの鉄生産を考察する上での新たな視点を示す。」
- 発表者:増渕 麻里耶(東京文化財研究所)
■第255回■
- 日時:2019年5月26日(日) 午前 10時30分より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「南海交易と東南アジア産陶磁器の生産」
- 「近年の東南アジアでは、アラビア文字・南アジア文字・漢字墨書をもつ唐代の沈船資料や、タイ湾におけるアンフォラの出土など、東西交易に関する新資料の発見が相次いでいる。さらに、東南アジア域内で生産された陶磁器についても、窯跡遺跡の発掘調査の進展から、これまで消費地で産地同定が不可能だったものが可能となり、ビルマ産の陶磁器が西アジアに輸出されていただけでなく、日本にまでもたらされていること、クメール陶器が沖縄の首里城で出土していることが確認されるようになった。今回の発表では、こうした最新の調査成果を商会しながら、西アジアから東アジアにいたる陶磁貿易が、東南アジア各地域の窯業成立にいかなる刺激を与え、また発達した東南アジア在地窯業が陶磁交易網のなかにどの様に組み込まれていったのかについて考えてみたい。」
- 発表者:田畑 幸嗣(早稲田大学文学学術院)
■第256回■
- 日時:2019年12月23日(月) 午後 3時より
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「カラーシャの冬至祭「チョウモス」の構造と音楽」
- 「パキスタンの山岳地帯に住む「カラーシャ」は総人口3000人余りの少数民族で、アレクサンドロス東征軍の末裔を自称する。その冬の大祭チョウモスでは、冬至に向けて毎日異なる行事が2週間にわたって繰り広げられる。行事の聖性の推移と歌との関係を舳に、チョウモス祭の構造を明らかにし、文化的な背景を考えてみたい。」
- 発表者:丸山 純(地平線会議)
■第257回■
- 日時:2020年2月1日(土) 午後 3時より
- 場所:三鷹ネットワーク大学 教室A (三鷹市下連雀3−24−3 三鷹駅前協同ビル3階)
- 題目:「アンデス文明形成期の神殿と人々 - 壁画と饗宴から見えてくるもの」
- 「アンデス文明の形成期(前3000~前50年頃)は、いまなお編年等の基礎的研究が必要とされる一方で、近年はより発展的なテーマでの研究成果も蓄積されつつある。今回は、発表者が2002年から実施してきた2つの神殿遺跡の発掘成果を、①壁画群の図像分析、②饗宴廃棄物の分析を中心にまとめ、そこから見えてくる社会の諸側面とその変化について考察する。」
- 発表者:芝田 幸一郎(法政大学)
■第258回■
- 日時:2020年2月29日(土) 午後 3時より
- 場所:三鷹ネットワーク大学 教室A (三鷹市下連雀3−24−3 三鷹駅前協同ビル3階)
- 題目:「世界文化遺産と日本の国際協力の現場から」
- 「現在「大エジプト博物館保存修復センター」において、ツタンカーメン王の遺物を中心にエジプトと日本の両国保存修復専門家による合同保存修復が進行中です。今回の講義ではそのプロジェクトを実施するうえでどのような問題に直面しどう対処したか、協力現場での実際と今後の貢献のあり方について話を進めたい。」
- 発表者:中村 三樹男(一般財団法人 日本国際協力センター)
■第259回■
- ※新型コロナウィルス感染症の発生に伴い、勉強会会場の武蔵野プレイスの臨時休館が3月31日(火)まで延長となりました。そのため、3月21日(土)の第259回アナトリア学勉強会は延期となります。新たな開催日程については未定でございますが、決まり次第ホームページでご案内いたします。
- 日時:
2020年3月21日(土) 午後 3時より→ 延期となりました - 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 題目:「スリランカ密林遺跡の現状」
- 「世界文化遺産の一部の仏教遺跡のみが注目され、周辺調査も進む一方で、大半が未知・未調査のまま密林中に放置されているスリランカの多様な遺跡群。その全貌を明らかにしたいと、長年踏査を続けてきた経験から、寺院、城塞、水利施設、先住民岩絵など密林遺跡の現状と、調査や管理、盗掘の実態、今後の見通しなどを語ります。」
- 発表者:岡村 隆(NPO南アジア遺跡探検調査会理事長)
■第260回■
- 日時:2021年7月3日(土) 午後2時〜午後3時
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「2021年度ビュクリュカレ遺跡発掘調査」
- 「今年は5月27日に発掘調査を開始し、2019年の発掘調査で前15世紀の印章が出土したヒッタイト時代文化層の調査を行う予定です。この時代は、ヒッタイト王家により執り行われた儀礼と関連するフリ語粘土板儀礼文書の時代に相当し、ビュクリュカレ遺跡の本質に迫れるものと期待します。この調査と並行して、楔形粘土板文書片と印影の多くが出土している鉄器時代城壁外側を発掘します。ここは破壊されたヒッタイト文化層の土で埋められており、さらなる粘土板文書や遺跡の古代都市名と関連付けられるような重要な遺物の出土が期待されます。」
- 発表者:松村 公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)
■第261回■
- 日時:2021年8月29日(日) 午後2時〜
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「カマン・カレホユック遺跡発掘調査」
- 「カマン・カレホユック遺跡は1986年に第1次発掘調査を開始し、今年で35年になります。アナトリアの『文化編年 (年表) の構築』を主目的の一つとして、遺跡の北区を35年間変わらずに掘り下げてきました。「暗黒時代」と呼ばれる時代に独自の豊かな文化が存在した可能性など、アナトリア考古学のいくつかの問題を解明してきましたが、まだまだ歴史の課題が詰まっています。これからも発掘し続けていく現場から、今見えてくる問題点を解説します。」
- 発表者:大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第262回■
- 日時:2021年10月23日(土) 午後3時〜午後4時
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「4200年前の都市ヤッスホユックの発掘現場から」
- 「6月のビュクリュカレ、8月のカマン・カレホユックに続いて、ヤッスホユックの発掘現場から、現在の発掘調査の状況と、2009年に調査開始以来これまでに明らかになっている成果、特に、前期青銅器時代後半(紀元前3千年紀後半)のモニュメンタルな建築遺構を中心にヤッスホユックを紹介いたします。古代の集落址を都市と呼ぶための大きな条件の一つである当時の市壁は未だ確認されていませんが、頂上部にこれほどの規模の中心的建造物を有する以上、確固たる集権力をもったリーダーと統制された機構が存在していたと推察されます。」
- 発表者:大村 正子(アナトリア考古学研究所研究員、ヤッスホユック遺跡発掘隊長)
■第263回■
- 日時:2021年11月20日(土) 午後3時〜午後4時
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「カマン・カレホユックの出土遺物について(1)」
- 「1986年にカマン・カレホユックで開始した発掘調査も、今年で35年になります。アナトリアの『文化編年 (年表) の構築』を主目的の一つとして、北区で35年間同じ方法で掘り下げてきております。前12世紀初頭にヒッタイト帝国が崩壊した後、アナトリアは歴史も文化もはっきりしない時代、つまり400年にも渡る「暗黒時代」を迎えたと云われてきました。しかし、カマン・カレホユックの発掘調査の結果、その時期は決して「暗黒時代」ではなく素晴らしい文化を持ち合わせた時代であることが明らかになってきております。今回の勉強会ではカマン・カレホユックの文化層についての問題点をお話しするとともに、オスマン帝国時代、鉄器時代の出土遺物をご紹介したいと思います。」
- 発表者:大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第264回■
- 日時:2021年12月15日(水) 午後6時半〜午後7時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「カマン・カレホユックの出土遺物について(2)」
- 「今回は、カマン・カレホユック第II層鉄器時代(約3200年前から約2300年前)の中でも、特に第IId層(約3000年前)と第IIc層(約2800年前)の土器資料などを取り上げたいと思います。この第IId層は「暗黒時代」と呼ばれていた時期でもあります。ヒッタイト帝国が崩壊した後の文化として位置付けられている第IId層、第IIc層の文化は、はたしてどのようなものであったのか、博物館に展示されている土器資料をご紹介しながら勉強会を行います。」
- 発表者:大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第265回■
- 日時:2022年1月29日(土) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「ビュクリュカレ遺跡とガラス遺物」
- 「2009年度より調査しているビュクリュカレ遺跡では、3600年前のガラス壺とペンダントが出土しました。今回はビュクリュカレ遺跡をご紹介するとともに、オリエント世界でも最も古いものの一つとなるガラス壺がなぜアナトリアで出土したのかなど、まだ謎の多いガラス遺物とアナトリアの歴史についてお話ししたいと思います。」
- 発表者:松村 公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)
■第266回■
- 日時:2022年2月23日(水・祝日) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「ビュクリュカレ遺跡とガラス遺物2」
- 「前回に引き続きビュクリュカレ遺跡出土のガラスを出発点として、ビュクリュカレ遺跡の歴史を考察します。ビュクリュカレ出土のガラス壺から約100年後にガラスの製作技術はエジプトに伝えられ(約3500年前)、そこで開花し、エジプトで生産されたガラスのインゴットは東地中海地域の海洋交易を通して活発に取引され、ギリシャにまで送られました。今回はその後のガラスの歴史についてもお話したいと思います。」
- 発表者:松村 公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)
■第267回■
- 日時:2022年4月2日(土) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「ビュクリュカレ遺跡とガラス遺物3」
- 「今回は紀元前2千年紀後半のガラスの歴史についてお話ししたいと思います。ビュクリュカレ出土のガラス壺から約100年後には、ガラスの製作技術はアナトリアからエジプトに伝えられ(約3500年前)、そこで開花しました。その後、エジプトで生産されたガラスのインゴットは東地中海地域の海洋交易を通して活発に取り引きされ、ギリシャにまで送られました。しかし、ヒッタイト帝国が崩壊するのと前後してオリエントのガラスの生産は一時途絶えました(約3300年前)。再び出現する紀元前9世紀までの約400年間をガラスの「暗黒時代」と呼びますが、この時期ヨーロッパからカマン・カレホユックにガラスが入ってきたとする研究があります。」
- 発表者:松村 公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)
■第268回■
- 日時:2022年6月1日(水) 午後6時〜午後7時(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「第13次ビュクリュカレ遺跡発掘調査開始」
- 「本年度の発掘調査は、5月6日から始まりました。最初にテントを設営し、発掘区の屋根をはずした後、清掃を行い、発掘を開始しました。今年度の発掘調査の目的は3つあります。一つは城塞区の北東斜面の発掘を進めることです。ここには、ヒッタイト時代(3650年~3200年前頃)の文化層が鉄器時代の人々によって破壊され、廃棄されており、この堆積土を発掘調査することで、粘土板をはじめとするヒッタイト時代の遺物を多数採取することが可能です。二つ目は城塞区北部において確認されているヒッタイト時代の建築遺構の発掘区域をさらに拡大して調査することです。三つ目は城塞区南部において鉄器時代層の調査を行い、カールム時代(4000年~3700年前頃)宮殿址調査の準備をすることです。今回の勉強会ではこれら今年度発掘調査の目的のほか、最新の発掘状況を発掘現場からお話しする予定です。」
- 発表者:松村 公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)
■第269回■
- 日時:2022年7月1日(金) 午後6時半〜午後7時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「発掘現場より今年度ビュクリュカレ遺跡調査終了にあたって」
- 「5月に始まった今年の調査も天候に左右され思うように進まない日もありましたが、あっという間に2ヶ月間の調査が終わろうとしています。今回の勉強会では、本年度の調査で新たに明らかになったことを中心に、前回までの勉強会では説明できなかったことなどを交えて現場からお伝えしようと思います。」
- 発表者:松村 公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)
■第270回■
- 日時:2022年7月23日(土) 午後4時半〜午後5時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「暗黒時代は本当に暗黒だったのか」
- 「1986年、カマン・カレホユック発掘調査を開始し、今シーズンで35次を迎えました。この調査の主目的は「文化編年の構築」、換言しますと「年表の作成」になります。これまでの発掘調査で、数多くの問題点が見つかっています。それらの一つにヒッタイト帝国以降、アナトリアを覆ったと言われる「暗黒時代」があります。この時代は文化的にも取るに足らない時代と言われています。果たしてそれは事実か否かです。今回の勉強会では、「暗黒時代」に関する私の考えをお伝えしたいと思います。」
- 発表者:大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第271回■
- 日時:2022年8月11日(木・祝日) 午後4時半〜午後5時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「考古学は必要な学問か否か」
- 「考古学の世界に入って半世紀以上が過ぎてしまいました。その間多くの考古学の発掘現場に入り調査を行ってきました。発掘調査は確かに人を夢中にさせる魔力のようなものがあります。私もその魔力に取り憑かれた一人かもしれません。遺跡で調査を行っていると、ふと疑問に思うことがあります。それは考古学が、この世にとってなくてはならない学問なのかということです。今回の勉強会では考古学に対する私の考え方をお話し出来ればと思います。」
- 発表者:大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第272回■
- 日時:2022年10月15日(土) 午後4時半〜午後5時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「ヒッタイト帝国は何故崩壊したのか」
- 「1986年、カマン・カレホユック発掘調査を開始し、今シーズンで35次を迎えました。この調査の主目的は『文化編年の構築』、換言しますと『年表の作成』になります。これまで発掘調査を通して、数多くの問題点が見つかっています。それらの一つに、ヒッタイト帝国は前2千年紀末に何故突然崩壊したのか、があげられます。通説では『海の民』の侵攻といわれますが、それは事実かということです。他に原因はないだろうか。今回の勉強会では、発掘現場を通して『ヒッタイト帝国の崩壊の背景』に関する私の考えをお伝えしたいと思います。」
- 発表者:大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第273回■
- 日時:2022年11月5日(土) 午後5時半〜午後6時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「ヤッスホユックの発掘現場から」
- 「第13次発掘調査が進行中のヤッスホユックの発掘現場から、前期青銅器時代後半(およそ4000〜4500年前)の都市が大火災により繰り返し崩壊した痕跡をたどります。確固たる集権力をもった統率者と統制された機構があってこそ、その建造が可能であったと推察される大規模な中心的建造物が存在しますが、その建造と焼失が繰り返された理由をどこに探るべきかを考えたいと思います。」
- 発表者:大村 正子(アナトリア考古学研究所研究員、ヤッスホユック遺跡発掘隊長)
■第274回■
- 日時:2022年12月16日(金) 午後6時半〜午後7時半(日本時間)
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分A (武蔵野市境南町2-3-18)
- 参加方法:対面/Zoomライブ配信
- 題目:「AIが挑む粘土板の謎」
- 「ボアズキョイ文書と呼ばれる一連の粘土板群には、一枚の粘土板中に儀礼に関する文章を2回重複記載したユニークな粘土板(KBo 23.1 ++)が含まれている。この粘土板のオンライン所蔵画像に対して画像認識AIを活用した筆跡鑑定を行うことで、著者の数や記載中の楔形文字の癖などを定量的に理解することを試みた。」
- 発表者:河本大知(京都大学)、福田勝利(京都大学)、吉田大輔(アナトリア考古学研究所)
■第275回■
- 日時:2023年1月17日(火) 午後6時半〜午後7時半(日本時間)
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分A (武蔵野市境南町2-3-18)
- 参加方法:対面/Zoomライブ配信
- 題目:「アナトリア高原(トルコ共和国)で何故「年表作り」を行うのか」
- 「これまで報告会、研究会、講演会を通して何度か「文化編年の構築」についてお話ししてきたかと思います。考古学研究の基本の一つである「文化編年」は、言葉を替えて言いますと、「年表」と云うことになります。これを構築する作業は、カマン・カレホユックの発掘調査を通して37年間行って参りましたが、これだけ長期間にわたって何故この作業を続けてきたかについて、これまで詳細にお話ししたことはありませんでした。今回の勉強会ではこの点に焦点を合わせる形でお話しさせて頂ければと思っております。」
- 発表者:大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第276回■
- 日時:2023年2月28日(火) 午後6時半〜午後7時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「アナトリアの文化編年の問題点―カマン・カレホユック発掘調査を通して」
- 「第275回の勉強会では、カマン・カレホユックでの文化編年の構築(年表作り)についてお話しをいたしました。これまでのカマン・カレホユックの発掘調査で大きく4文化層―オスマン帝国時代、鉄器時代、中期・後期青銅器時代、前期青銅器時代―が見つかっています。これらの文化層を確認する過程であまりにも多くの問題点が浮上してきてしまい、しばし発掘現場で戸惑うことが多々あります。それが発掘調査の宿命なのかもしれません。今回の勉強会では1985年に調査を開始したカマン・カレホユックを通して見えてきたアナトリアの文化編年の問題点について、カマン・カレホユック考古学博物館からお話ししたいと思います。」
- 発表者:大村 幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第277回■
- 日時:2023年4月16日(日) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 場所:武蔵野プレイス スペースC (武蔵野市境南町2-3-18)
- 参加方法:対面/Zoomライブ配信
- 題目:「メソポタミアの彩文土器−土、火、色の実験考古学とその先」
- 「変幻自在な土。火と出会ってテラコッタとなり、色と重なることで彩文土器が生まれます。もともと資源の乏しかったメソポタミアにおいて、人々は身近な土を素材にしつつ、多様な原料を手に入れ、巧みな焼成により彩文土器を編み出しました。本発表では、カマンのアナトリア考古学研究所にて実施させていただいているメソポタミア彩文土器の復元実験について、成果の中間報告と今後の展望についてお話いたします。」
- 発表者:小泉 龍人(明治大学研究・知財戦略機構 客員研究員, メソポタミア考古学教育研究所 代表)
■第278回■
- 日時:2023年5月27日(土) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「第14次ビュクリュカレ遺跡発掘調査(2023年):アナトリアからの現場中継」
- 「第14次ビュクリュカレ遺跡発掘調査は、4月26日に開始しました。今回の勉強会では、ビュクリュカレの発掘現場の進捗状況をご覧頂きたいと思います。今シーズンの調査目的は二つあります。一つは、粘土板文書、印影、他の出土遺物からビュクリュカレのヒッタイト時代を復元することです。二つ目は、ヒッタイト時代の断片的に検出されている建築遺構をつなぎ合わせて建物の全体像を復元することです。今シーズンも多くの遺物が出土しておりますが、現段階では粘土板文書、印影は見つかっておりません。これまでの発掘調査で出土しているいくつかの粘土板にはミタンニで使用されていたフリ語が刻まれており、ビュクリュカレとミタンニとの関係が朧げながら浮かんできています。アマルナ文書からシリアのミタンニとエジプトとは外交関係があったことは明らかになっておりますので、今後のビュクリュカレのフリ語に関する粘土板文書の出土は、ヒッタイト、ミタンニ、そしてエジプトの関係が一段と鮮明になるものと期待しております。」
- 発表者:松村公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)
■第279回■
- 日時:2023年6月17日(土) 午後6時〜午後7時(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「第14次ビュクリュカレ発掘調査最終報告(2023年)ー現場中継」
- 「4月26日に開始した第14次ビュクリュカレ遺跡発掘調査も終了に近づきました。今回の勉強会では、今年度の調査結果をお話します。今シーズン掲げた調査目的は二つありました。一つは、粘土板文書、印影、他の出土遺物からヒッタイト時代を復元することでした。前回お伝えしたように粘土板が一点出土しており、その解読を現在行っているところです。粘土板は最初の段落がヒッタイト語で、そして本文の呪術儀礼の部分がミタンニ王国の言語フリ語で書かれています。粘土板には王がお祭りの際に訪れるカタパという重要な都市名も書かれています。さらに人名のリストがあることです。またアマルナ文書にも登場するエジプトとも関係を持った西アナトリアの強国アルザワの王名も書かれている可能性もあり、まさにヒッタイト、ミタンニ、アルザワ、そしてエジプトにまつわる当時の国際情勢に光を当てられるのではと期待しています。二つ目は、ヒッタイト時代の断片的に検出されている建築遺構をつなぎ合わせ当時の建物の全体像を復元することでした。これについては鉄器時代の城壁を外して、その下に壊れずに残っていた建築遺構が見つかったことでかなりの部分がはっきりしてきました。」
- 発表者:松村公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長)
■第280回■
- 日時:2023年8月19日(土) 午後1時半〜午後2時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「第36次カマン・カレホユック発掘調査(2023年)」
- 「第36次カマン・カレホユック発掘調査は、7月3日(月)に開始、現在、7週目に入っております。今シーズンも「文化編年の構築」(北区)と3200年から3600年前のヒッタイト帝国時代の大型建築遺構の機能の解明に主目的を置いて調査を行なっております。特に、今シーズンは北区の約4500年ほど前、つまり前期青銅器時代の第二番目大火災層の直上で見つかっている建築遺構(火災を受けていない)とそこから出土した鉄関連資料についてお話ししたいと思います。」
- 発表者:大村幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第281回■
- 日時:2023年10月14日(土) 午後5時半〜午後6時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「ヤッスホユックの発掘現場から」
- 「ヤッスホユックでは、前期青銅器時代後半(およそ4000〜4500年前)の都市の発掘を継続しています. 第III層の最上層で確認された大遺構は大火災を受けていましたが、この大火災層の下には、さらに第2の大火災層が確認されています。この火災層に含まれる建築遺構は上層のそれと同等かそれ以上の規模をもつ都市の中心であったと推測されます。アナトリアの紀元前3千年紀後半の都市は、その後の都市国家、王国、さらには帝国へつながる礎です。その構造においても、メソポタミアとも繋がる遠隔地交易の面においても、ヒッタイトが躍動した紀元前2千年紀のアナトリアを準備していたといえます。」
- 発表者:大村正子(アナトリア考古学研究所研究員、ヤッスホユック遺跡発掘隊長)
■第282回■
- 日時:2023年11月11日(土) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「アナトリア考古学研究所による3遺跡発掘調査(2023年)の最新情報」
- 発表者:松村公仁(ビュクリュカレ調査隊長)、大村幸弘(カマン・カレホユック調査隊長)、大村正子(ヤッスホユック調査隊長)
■第283回■
- 日時:2023年12月15日(金) 午後2時半〜午後4時半(休憩あり)(日本時間)
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分B (武蔵野市境南町2-3-18)
- 参加方法:対面
- 題目:「蛍光X線装置による古代金属製品の化学組成分析」
- 「蛍光X線装置は、資料の化学組成を非破壊分析手法により測定できるため、貴重な考古学資料の研究に幅広く使用されている。アナトリア文明博物館(アンカラ)で行った調査では、博物館に保管されている青銅器時代の鉄製品・金製品の分析を行った。この分析により得られた化学組成から、当時の金属加工技術や原料鉱石についての情報が得られる。」
- 発表者:森脇涼太(千葉工業大学 地球学研究センター)
- 題目:「中央アナトリアにおける製鉄のはじまり」
- 「カマン・カレホユック遺跡の前期・中期青銅器時代の層からは、多くの鉄関連資料が発掘されている。これらの資料は、中央アナトリアにおける初期製鉄技術の解明のための重要な手がかりである。研究室での分析により、鉄滓には微小な金属鉄が含まれていることがわかった。また、鉄製品の中には鍛造・溶接の痕跡を残すものが見られた。これらの結果は、前期・中期青銅器時代の中央アナトリアに、既に製鉄技術が存在していた可能性を示唆する。」
- 発表者:ヌルジャン キュチュックアルスラン(千葉工業大学 地球学研究センター)
■第284回■
- 日時:2024年1月12日(金) 午後2時半〜午後4時半(休憩あり)(日本時間)
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分A (武蔵野市境南町2-3-18)
- 参加方法:対面
- 全体タイトル:『アナトリアにおける完新世の気候・環境変動と文明の出現、発展、転換』
- アナトリアは、文明の出現、発展、転換を連続的に追える稀有な地域であり、偏西風や熱帯収束帯の位置変化による気候帯のシフトが大きい地域でもある。そのため、民族移動、都市放棄、生活様式変化が頻繁に起こった可能性がある。地球学研究センターでは、文明の出現と転換に焦点を当て、遺跡内〜地域的〜広域的気候・環境変動の復元と相互対比、文化層序との対比確立を目指して2022年から調査を開始した。当日は、4200年前前後の文明の転換期についてその様子と予察的分析結果を3つに分けて報告する。
- 概要説明:多田隆治(千葉工業大学 地球学研究センター)
- 発表1:「カマン・カレホユック遺跡におけるミドゥン堆積物(ゴミ堆積物)の層序復元と端成分推定」
- 「遺跡内のピットを充填するミドゥン堆積物は当時の生活様式や物質利用を記録している可能性がある。カマン・カレホユック遺跡北区トレンチ壁面においてミドゥン堆積物に着目した観察・記載を行い、ミドゥン堆積物の層序を復元した。また、堆積物の色、化学、鉱物分析を行い、ミドゥン堆積物を構成する端成分の推定と量比変動の復元を試みた。」
- 発表者:多田賢弘(千葉工業大学 地球学研究センター)
- 発表2:「カマン・カレホユック遺跡近傍湿地の堆積物を用いた前期青銅器時代~鉄器時代の局所的古環境復元」
- 「カマン・カレホユック遺跡近傍で掘削を行い、前期青銅器時代から鉄器時代に対応する堆積物を連続的に回収した。堆積物の化学・鉱物分析を行い、そこから局所的な自然環境や遺跡内での人間活動の変化に関して、どの様な情報を抽出できるかを調べた。また、今後どの様に遺跡内と年代対比を行っていくのかについても紹介する。」
- 発表者:鈴木健太(千葉工業大学 地球学研究センター)
- 発表3:「Eski Acigol堆積物が記録する過去〜5000年間の急激な古環境変動」
- 「中央アナトリアの火口湖跡を掘削し、深度〜4.6m(〜5000年前)までの湖堆積物を連続的に回収した。特に2.4〜4.4m(約4〜2千年前)の層序区間はcmスケールの明暗互層で特徴づけられ、数十年周期で環境が大きく変動した事を示唆する。堆積物の顕微鏡観察や鉱物・化学分析の予察的結果とその意味について報告する予定である。」
- 発表者:多田隆治(千葉工業大学 地球学研究センター)
■第285回■
- 日時:2024年2月2日(金) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 場所:武蔵野プレイス フォーラム区分A (武蔵野市境南町2-3-18)
- 参加方法:対面
- 題目:「南東トルコの初期新石器時代:狩猟採集民の巨石文化を掘る」
- 「およそ1万2千年前以降、人類の生業経済が狩猟採集から農耕牧畜へと転換していった初期新石器時代に、南東トルコでは独特の巨石文化が栄えました。しかしそうした文化変化がなぜ、どのように始まったのか依然として謎のままです。本発表ではギョベックリ・テペ遺跡をはじめとする現地での考古学研究の最前線を取り上げるとともに、千葉工業大学地球学研究センターによる遺跡調査の成果を紹介します。」
- 発表者:下釜 和也(千葉工業大学 地球学研究センター)
■第286回■
- 日時:2024年7月6日(土) 午後2時〜午後3時(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「2024年ビュクリュカレ遺跡発掘調査―発掘現場からの中継」
- 「今シーズンのビュクリュカレの発掘調査は、4月29日から開始しました。遺跡の上の町からは、これまでの調査で約2800年前の鉄器時代にキンメリア人によって建設したと考えられる堅固な城塞が確認されています。その城塞をキンメリア人が建設する際、その前の時代、つまり約3500年前のヒッタイトの建物を取り壊し、それらの取り壊した際に出た資材は城塞の補強のために使用していることが明らかとなっています。その補強に使ったヒッタイトの資材の中から楔形文字の刻まれた粘土板文書が、今シーズンも出土しています。また、ヒッタイトの建物はキンメリア人によって根こそぎ全てが取り外されているわけではなく、建物の基礎部分が残されています。それらの建築遺構を精査しますと、ヒッタイトは3500年前にかなり大きな建物を三度に渡って作り上げていたことが明らかになりつつあり、現在盛んにそれらの調査を行っているところです。今回の勉強会では、ビュクリュカレ遺跡から中継で現在発掘調査がどのように行われているかをお話しします。」
- 発表者:松村公仁(アナトリア考古学研究所研究員、ビュクリュカレ遺跡発掘隊長
■第287回■
- 日時:2024年8月17日(土) 午後1時半〜午後2時半(日本時間)
- 参加方法:Zoomライブ配信
- 題目:「第37次カマン・カレホユック発掘調査(2024年)」
- 「第37次カマン・カレホユック発掘調査は、7月7日から発掘区のクリーニング、保護屋根を外す作業を行い、15日から本格的な発掘に入りました。今シーズンも北区で「文化編年の構築」、特に4300年前の前期青銅器時代、南区では3500年前のヒッタイト帝国時代の大型円形遺構、2700年前の中期鉄器時代の火災を受けた建築遺構を調査しているところです。今回の勉強会では、特に現在盛んに調査をおこなっている南区の大型建築遺構を中心にお話ししたいと思います。」
- 発表者:大村幸弘(アナトリア考古学研究所)
■第288回■
- 日時:2024年10月4日(金) 午後3時〜午後4時(日本時間)
- 参加方法:対面
- 題目:「前4千年紀末南レヴァントにおけるエジプト系植民地の形成 ―テル・エラニ出土土器の定量分析から―」
- 「前4千年紀末の南レヴァント(東地中海東南岸域)は、エジプト由来の物質文化が多く出土することで知られている。本発表では、エジプト系遺物が初めて確認された大型拠点遺跡テル・エラニに焦点をしぼって、土器群の変化を定量的に把捉する。これを踏まえて、エジプトによる南レヴァント進出の歴史的・社会的意味を考える。」
- 発表者:山藤正敏( 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所)
- 専門分野:西アジア・中央アジア考古学